自分を好きな子は成績が上がる。こんなことを言うと、たいていのお母さんは目を丸くして驚きます。そして、この本を読んでいるお母さんの中にも、自分を好きな子どもの成績が本当に上がるのかと興味がある方がいらっしゃるのではないでしょうか。

まず、自分が嫌いな子どもは、勉強ができる人間は優れた人だと思い込んでいるので、テスト結果があまりかんばしくないと、自分はダメな人間だと落ち込んでしまいます。頑張ろうとする気持ちも焦りで空回りして、ますますやる気を失い、能率は落ちていきます。

ここで、子どもに自信をつけ、自分を好きになるようにさせるには、結果よりも過程を評価することによって、子どもの気持ちを変えてあげるのがよいでしょう。

いっぽう、自分を好きな子どもは、テスト前には自分のベストを尽くせばよいと思っているので、焦ることも緊張することもありません。テストでは落ち着いて問題を読んで考え、解答できるほど強いことはありません。焦りがなければ、分からない問題に対しても落ち着いて考えられ、あとでひらめくことだってあります。

テスト結果に対しても、自分を好きな子どもは『60点しか取れなかった』ではなくて、『今回の実力は60点だったんだ』と冷静に受け止めることができます。その点数がうれしかったらうれしかったと思うし、次はあと10点取ろうと思えばそれだけのことで、結果に振り回されたり、一喜一憂したりすることはありません。」
星一郎「子どものやる気を引き出す本」2016三笠書房P.51-53

》テスト結果に対しても、自分を好きな子どもは『60点しか取れなかった』ではなくて、『今回の実力は60点だったんだ』と冷静に受け止めることができます。その点数がうれしかったらうれしかったと思うし、次はあと10点取ろうと思えばそれだけのことで、結果に振り回されたり、一喜一憂したりすることはありません《  子どものこれからの人生おいて、いろいろな結果がつぎからつぎへと今後何十回となく出てくるだろう。いい結果ばかりであろうはずはない。逃げる人生もあるだろう。果敢に挑戦する人生もあるだろう。いずれにせよ、結果に振り回されずに結果を受けとめ、結果を出すまでの経過を振り返ることができるようになり、経過の改良を考え続けることが大事である。子どもにとってのテストはそのための試練の一つではないだろうか。