波多野誼余夫・稲垣佳世子「無気力の心理学」P.34-35より

「ある活動をして同じ結果に出会っても、その原因をどこに求めるかによって、以後の行動の仕方や意欲が変わってくる。このことをはじめて理論化したのは、ウィナーというアメリカの社会心理学者である。

彼によれば、成功や失敗に対するさまざまな原因は、次の3つの次元に分けられるという。
  1. 焦点・・・原因が自分の内部にあるか、それとも外部にあるかの軸である。能力、努力、気分、健康状態などはすべて内部にある原因ということになる。これに対して、教師の教え方や課題の難しさ、運などは、外部にある原因になる。
  2. 安定性・・・同じように内部にある(自分に責任がある)といっても、能力は比較的安定した、一朝一夕には変えることの難しい特性である。これに対して、努力や気分は、もっとそのときどきによって変動しやすいものだ。
  3. コントロール・・・同じように内的で不安定な努力と気分を取り上げてみても、努力のほうは、自分の意志でコントロールできるのに対し、気分のほうはそういきにくい傾向がある。
とくに興味深いのは、『能力』と『努力』の要因であろう。」

《感想》成功・失敗の原因が、「自分の内か外か」「安定か不安定か」「コントロールが可能か不可能か」の3次元はおもしろい考え方ではあるが、実際の場面でどう利用するのか、あるいは、どう理由したのかの例があればよいと思う。